こんにちは!
現在、東京、宇都宮をメインにピアノ指導をしている長尾大志です。
一応Instagramもやっています。
「なんで弾くたびに手が疲れるんだろう…」
ピアノを弾いていると、こんな気持ちになることはありませんか?
少し長い曲を弾いているうちに、手首がじんわり重くなってくる。腕がこわばってきて、指が思うように動かない。練習を終えると肩まで張っている。「もっと楽に弾けたらいいのに」と思いながら、でも「これが普通なのかな」とあきらめてしまっている——。
実はこれ、あなたの才能や練習量の問題ではありません。
「脱力ができていない」というただ一つの原因から来ていることがほとんどです。
50代になってから、あるいは子どものころに少し習っていて大人になって再開して、ピアノを趣味で楽しんでいる方にとって、この「脱力」というテーマは避けて通れない大切な壁です。今日は、私自身が5年かけてやっと理解できたこの「脱力の本質」を、できる限り具体的にお伝えしていきます。
問題の本質──「脱力」は「力を抜く」ではない
まずここを整理させてください。
「脱力してください」と言われると、多くの方が「できるだけ手の力を抜いて弾く」と解釈します。
でも、それだと今度は鍵盤が押せなくなってしまいますよね?ふにゃふにゃで音がまとまらなくなる。「じゃあ結局どうすればいいの?」と混乱してしまう方がとても多いんです。
脱力の本質は「必要な力だけを使い、それ以外を抜く」ことです。
自分も大学時代までは「力を抜いて」「肘固まっているよ」と言われ、とりあえず肘を動かしてみる。とりあえず手の力を抜いてみる。こんな事をしていました。しかしそれが「脱力」に繋がることはありませんでした。
鍵盤を押すために必要な力はもちろん使います。
でも、それ以外の
たとえば手首を固める力、腕を持ち上げようとする力、肩をすくめる力
これらはまったく必要がない。むしろ邪魔になる。
ピアノは実は、指の重さだけでも音が出ます。腕の重さを使えば、さらに豊かな音が出ます。必要以上に「押そう」「弾こう」と力を込めると、かえって音は硬くなり、疲れだけが残ります。特に「弾く」という意識。これはピアノを弾いていく上で一番不必要な考えであり、意識だと思います。
私自身も長い間、「しっかり指を立てて、強く鍵盤を押さえること」が正しい弾き方だと信じていました。
日々の練習、レッスンで繰り返し弾く事で腕がパンパンになっていて
「これが上達するということなのかな?」
とすら思っていたほどです。
力みの原因はこの3つ
では、なぜ私たちは無意識に力を入れすぎてしまうのでしょうか。原因は大きく3つあります。
原因①「正確に弾こう」という緊張感
「間違えてはいけない」と思うほど、体は固まっていきます。
人間の体は、緊張すると自然と筋肉が収縮します。
イメージしてほしいのですが、裁縫などで意図を小さい針の穴に通そうとした時。手首など固めませんか?これと同じ状態が弾いている時に起きていると思ってください。
ですがこれは、本能的な防御反応です。
ミスを恐れるあまり、弾く前から手首が固まり、鍵盤に触れる前から指が緊張している——これが最初の力みの原因です。
楽譜を間違えずに弾くことに集中しすぎると、音楽を「感じる」余裕がなくなります。
すると体も硬直し、音もカチカチになっていきます。
原因②「指を高く上げなければ」という思い込み
「ハノンやバイエルの頃に、先生から『指をしっかり上げて』と言われた」という方が多いです。もちろん指の独立は大切なのですが、それは指を上げるという事ではありません。
自分もそうゆう指導を受けてきました。
指には筋肉があり、それぞれ得意な役割がある。
まずはここの認識をしてください。
特に34の指には指を上に上げるための独立した筋肉がありません。1,2,5には独立して動かせる筋肉がついているが、3,4にはついていない。
これを日本の教育では独立させて動かそうとしますが、それは筋肉への負荷が大きくなります。
そして、そもそも指を上げるという認識も捨ててください。
ピアノは鍵盤を押せば音がなります。そこに指を上げるという動作は必要ありません。
じゃあなぜ指を上げてしまうのか?
それは幼少期などは筋肉が未発達のため指だけで鍵盤を降ろすという事が難しいです。特に意識して特定の鍵盤を降ろすことが難しい。
そのため指をしっかり上げて弾くという教育が広く広まっています。
しかしそれは「共収縮」という筋肉の綱引き状態を引き起こす原因でもあり、「力み」に直結する動作でもあります・
むしろ鍵盤の近くで動かすほうが、コントロールが細かくなります。
原因③ 手首が固定されている
脱力できていない方に共通しているのが、手首の硬直です。
ピアノを弾くとき、手首は「クッション」の役割を果たします。指が鍵盤を押す力を、手首がやわらかく受け止めることで、腕や肩への負担が分散されます。
手首が固まると、指から腕へ直接衝撃が伝わり、それが蓄積して疲れや痛みになります。
「手首を上下に動かすのはダメ」と思っている方もいますが、自然な上下の動き(特にフレーズの終わりに手首をゆっくり上げる動き)は、むしろ身体にとって必要な動作です。
今日からできる脱力の練習法
では具体的にどうすれば脱力できるようになるのか。私が5年かけて試してきた中で、特に効果があった方法をご紹介します。
方法①「腕を落とす」感覚で鍵盤を押す
まず椅子に座って、腕を自然に膝の上に置いてみてください。その状態で手を持ち上げ、鍵盤の上にそっと置きます。このとき「腕を上から落とす」イメージで鍵盤に触れると、指に余計な力が入りにくくなります。
押すのではなく、「腕の重さを預ける」感覚です。
私自身も最初はこの感覚がつかめず、意識的に「腕を重くする」練習を何ヶ月も繰り返しました。お風呂の中で腕を浮かせてみたり、机の上に腕をどさっと落としてみたり——そうやって「重さを使う感覚」を体に覚えさせていきました。
方法②「5秒のリセット休憩」を練習に組み込む
フレーズを一つ弾いたら、必ず手をひざの上に置いて5秒休む。この習慣を練習中に意識的に入れてみてください。
力みは気づかないうちに蓄積します。休憩を挟むことで、手が「ゼロの状態」に戻る時間を作れます。この小さなリセットが、1時間の練習の質を大きく変えてくれます。
方法③ 手首でフレーズを「弧を描く」ように弾く
特にショパンやロマン派の曲に有効な方法です。フレーズの始まりで手首を少し低く、フレーズの終わりに向かって手首をゆるやかに持ち上げていく。弧を描くような手首の動きを意識することで、音楽に自然なフレーズ感が生まれ、同時に腕の力みも抜けやすくなります。
私がショパンのノクターンを弾いていたとき、どうしてもフレーズの終わりが「ブツッ」と切れてしまっていた時期がありました。先生から「手首で弧を描いてごらん」と言われてから、音がなめらかにつながるようになっただけでなく、腕の疲れもぐっと減りました。
まとめ──脱力は「感じる」ものです
脱力は、理屈でわかっても体が覚えるまでに時間がかかります。でも、だからといってあきらめる必要はまったくありません。
大切なことをもう一度整理すると:
- 脱力とは「力をゼロにする」ことではなく、「必要な力だけを使う」こと
- 力みの原因は「緊張・指を高く上げすぎる・手首の硬直」の3つ
- 「腕の重さを預ける」「5秒リセット」「手首で弧を描く」の3つを練習に取り入れる
体が変わると、音が変わります。音が変わると、ピアノがもっと楽しくなります。
私自身、5年間かけてようやく「弾いていて疲れない体の使い方」にたどり着きました。遠回りもたくさんしましたが、その分だけ「こうすれば伝わる」という実感もあります。
ぜひ今日ご紹介した練習法を、一つでもいいので試してみてください。きっと何か変化を感じていただけると思います。
もし「自分の弾き方を直接見てもらいたい」「どこが力んでいるか確認したい」という方は、体験レッスンでも丁寧にお伝えしています。一緒に、弾くほど気持ちよくなるピアノを目指していきましょう!
