奏法について

ピアノを習う際に、教室が「どんな奏法」を教えているのかを意識することは、もしかすると少ないかもしれません。

だからこそ、ここでは当教室が特徴とする奏法について、少しお話ししたいと思います。


目次

当教室では日本で主流とされる弾き方ではなく、海外、特に旧ソ連時代のピアニスト「タチアナ・ニコラーエワ」の音色に感化され、「ディーナ・ヨッフェ」などから学んだことを独自の研究で進化させた大野眞嗣先生から学んでいる現代ピアノ奏法呼ばれる奏法を採用しています。この奏法は海外では主流の弾き方であり、この奏法を指導している理由は、ピアノをより楽に弾けるようになるためです。たとえば、私自身も以前の奏法では、速いパッセージを何度も練習していると指が疲労してしまい、途中で弾けなくなることがよくありました。また、ショパンの「3度のエチュード」など、挑戦したいと思っても難しすぎて手がつけられませんでした。

ですが、この現代ピアノ奏法に変えてからは、指の疲労がほとんどなくなり、難しいエチュードにも取り組めるようになりました。このような実体験があるため、生徒の皆さんにもこの奏法のメリットを知っていただきたいと考えています。次に、従来の奏法とどのような違いがあるのか、3つのポイントに分けて解説します!


当教室の指導は、以下の3つのポイントに基づいています。

1. 指の関節で弾かない

一般的な日本の奏法では、「指の関節をしっかり保つこと」「全ての音を均一に出すこと」が重視されることが多いかもしれません。この方法は、元から関節が強い人にとっては問題なくバリバリ弾ける一方で、そうでない方にとっては指に負担がかかりやすくなり、腱鞘炎やジストニア(運動障害)に至るリスクもあります。

一方、当教室では、指の関節ではなく指の付け根にある筋肉を使って弾くことを大事にしています。これにより、関節への負担が軽減され、より快適な演奏が可能になります。

さらに「歌うように弾くこと」も重視しています。たとえば、声を使って歌うときに「全ての音を均等に出す」ことを意識する方は少ないと思います。むしろ、フレーズに合わせて強弱をつけたり、感情を込めて変化を加えるのが自然ですよね?ピアノでも同じで、音楽の流れを意識しながら、指ごとに異なるタッチの魅力を引き出すことが大切です。ショパンが指についてこのような話しをしています。

指の造りはそれぞれに違うのだから、その指に固有なタッチの魅力を損なわないほうがよく [損なっていけないのは当然である]、逆にそれを十分生かすように心がけるべきだ。

「弟子から見たショパン」より

こうした考え方は、日本で主流とされる弾き方とは異なります。


2. 虫様筋のトレーニング

詳しいことは実際のレッスンでご紹介していますが、当教室では指の独立を意識した「上下の動き」を強調するのではなく、指にある虫様筋(ちゅうようきん)という筋肉を鍛えるトレーニングを行っています。虫様筋を鍛えることで、必要最小限の力で弾くことができ、また脱力もやりやすくなります。このトレーニングにより、速いパッセージや難しい音型も余裕を持って弾けるようになります。


3. 脱力

この奏法で一番大切にしているのが脱力です。多くの先生が「脱力が大切」とおっしゃいますが、単に力を抜くだけでは不十分です。脱力した状態を保ちながら、瞬間的に腕の重みを乗せて弾くことで、響きのある豊かな音色を生み出すことができるのです。

また、脱力には、虫様筋の筋力が大きく関わっています。これにより、腕全体の重みを支えられるようになるため、演奏における負担が減り、滑らかな音色を生むことができます。このような「脱力」を身につけるためには、日頃から関節に頼らずに演奏する意識が重要です。

もちろん、腕の重みや虫様筋の使い方については様々な意見がありますので、当教室の考え方の一つとして参考にしていただければと思います。


最後に

ここまで、当教室の特徴的な奏法についてご紹介しましたが、最もお伝えしたいのは、「ピアノや音楽が皆さんの人生の支えとなるように」という想いです。長く続けるかどうかにかかわらず、心から「ピアノが楽しい!音楽が楽しい!」と思っていただけるようなレッスンを提供していきます。

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